多くの医学生、若手医師は(あるいは時にはベテラン医師でさえも)、病理と聞くと「基礎医学」と思い浮かべるかもしれません。でも、私たちの行っている病理診断・細胞診は「臨床医学」そのものです。よく考えて見て下さい。患者さんから採取した組織や細胞を形態学的にあるいは分子生物学的手法も駆使しながら「診断」する。縮小手術を行うには術中迅速診断が不可欠ですが、常勤の病理医がいなければ行えません。治療効果の判定や予後を予測するなどの点においても、病理はなくてはなりません。最近では、病理診断は新たな局面を迎えています。即ち、ホルモン療法や分子標的療法を行うために、免疫染色や遺伝子学的検索が不可欠になってきていること、言い換えれば、治療選択に直結するのです。これが‘基礎’といえるでしょうか。病理は、「病理診断科」として診療科の仲間入りすることが平成19年9月、厚生労働省医道審議会で了承されました(平成20年4月実施予定)。病理医にとっては、永年の悲願でありました。その分、診断に対する責任は益々求められることになりますが、このことは、同時に、‘やりがい’にもつながります。患者さん側の後押しもあって実現した経緯もあり、前向きに検討を始めている病院が多いと聞いていますが、当院での議論はこれからとなりましょう。当院の病理部は、院内で採取されたすべての臓器・疾患を取り扱います。そしてオールラウンドに活躍できる病理専門医の育成に力をいれています。病理は、当直がないなど、忙しい中でも比較的自分のペースにて仕事が出来るので、家事や育児との両立も真剣に考えていかねばならない女医さんにはうってつけの職場。実際、育児に奮闘中でありながら、専門医資格も取って仕事に育児にバリバリの若い女性病理医も、現役で多数活躍するなど、女性にやさしい職場を掲げています。患者さんのための最善最良の診断を目指して、私たちは、日夜、頑張り続けます‥