後期研修には、基礎的な臨床研修(前期研修)を終了した医師が、さらにジェネラルな研修の継続を行い、その分野での幅広い知識と技術を習得することを目的とし、複数の診療科で研修するGPコースと、専門医になることを目指し、高度な知識と技術を習得することを目的とした専門コースがあります。後者においては、基本的に研修希望科のみで研修を行いますが、当院のような中規模の市中病院では、大学病院のような縦割りシステムはなく、各診療科との連携がとれ易いという利点がありますので、専門コースを選択しても他の診療科の知識も得やすいものと考えます。私が担当しています外科での専門コースでは、日本外科学会が認定する専門医資格を取得することを目的に、医学知識と医療技術を修得していただき、後期3年間で一般外科医としてとりあえず独り立ちできるようになることを目標と考えています。外科での研修においては、研修医は“早く執刀したい”と思われると思いますが、基本ができていない段階で執刀しても今後の長い外科医としての診療には益にはならないと考えます。その基本を得るために助手を経験することが最も重要です。当院外科での手術件数、手術内容はそれを可能としています。また、外科では手術技術が主たることと考えられがちですが、術前の診断、術後の治療がたいへん重要であることは言うまでもありません。そのため、上級医とともに担当患者の周術期管理(がん化学療法も含めて)を行うことにより、外科医としての基本的知識、診断・治療能力を習得していただきます。基本ができたとわれわれが判断した時には、年次に関係なくどんどん執刀をしていただきたいと考えています。当外科は消化器外科・乳腺内分泌外科を主としていますので、消化器内科での内視鏡検査など、肝臓内科での超音波検査や肝生検など、放射線科での画像診断や血管造影、血管塞栓術などは診療に必須の事項であり、当然、その診療科との連携は密に行われていますので、外科研修中にも同知識は習得されます。また、当科では他施設への出向はありませんが、本人の希望があれば考慮することも考えています。現在のわが国においては、外科医が減少しています。外科医を志したい!と思われる研修医がいるなら、われわれはその希望に少しでも役立つように、そして日本の外科が崩壊しないようにと考えていますので、これからの医師としての長い人生の最初を当院でわれわれと一緒に頑張ってみませんか?