医学部におけるOSCEとは?
合格のための対策や評価基準も解説!

更新日:2024年10月7日

Xに共有する LINEに共有する

OSCE(オスキー)は、臨床実習前に必ず合格しなければならない実技試験です。知識の理解度をはかる「CBT」と同様に2023年から公的な試験となり、医学部のある全大学で同一基準の試験が行われるようになりました。

この記事では、「OSCE」の概要は勿論のこと、評価基準や対策についてわかりやすく解説していきます。

共用試験・OSCEとは

共用試験とは、医学生が診療参加型実習を開始する4年生修了時までに合格しなければならない試験のことをいいます。
知識を評価する「CBT」と、技能・態度を評価する「OSCE」の2つから構成されています。

臨床実習では、医師免許を持たない医学生が一定の医療行為に関わることがあるため、あらかじめ医療知識や技能・態度を評価する目的で共用試験が行われます。

共用試験は医師法改正によって公的に位置づけられ、これにより2023年度からは共用試験に合格しなければ臨床実習に参加できないことになりました。

「CBT」から「OSCE」までの間が1週間に満たないこともあれば、「OSCE」の後に「CBT」を実施するなど、大学により時期はまちまちです。あらかじめ自大学のスケジュールを確認し、早いうちに対策をしましょう。

OSCEとは

OSCEは「Objective Structured Clinical Examination」の略で、客観的臨床能力試験と呼ばれています。臨床実習へと進む前に基本的臨床技能を見極めるための試験となるため、実習が開始される4年生修了時までに、必ず合格しなければなりません。

臨床実習にあたっては、診察や診断に関する能力はもちろんのこと、コミュニケーション能力も非常に重要となります。

Post-CC OSCEとは

また、臨床実習後にも「Post-CC OSCE」と呼ばれる共用試験を受ける必要があります。2020年度から全国の医学部で実施されており、初期研修に臨むための臨床能力を確認するという位置づけの実技試験です。

 

Post-CC OSCEは4年時のOSCEでは実施されない「臨床推論」が含まれます。試験の流れとしては医療面接と診察、臨床推論を12分で行い、指導医への報告を4分で行います。スピードと正確性がより求められるため、合格の難易度は上がるといえるでしょう。共用試験実施評価機構(CATO)の用意した共通課題が3問、大学独自の課題が3問出題されます。

 

下記より、4年生時に受けるOSCEについて記載していきます。

OSCEの試験概要

OSCEの試験概要は次の通りです。

 実施時期 

大学のカリキュラムによって異なりますが、4年生の8月~2月頃に行われることが多い傾向です。

試験内容と流れ 

OSCEは、以下8つの領域から構成されます。
※令和7年度には「四肢と脊柱の診察」と「感染対策」を加え、計10課題としての実施が検討されています。

医療面接(10分)

 ↓

頭頸部診察(5分)

 ↓

胸部診察(5分)

 ↓

腹部診察/全身状態とバイタルサイン(5分)

 ↓

神経診察(5分)

 ↓

救急/基本手技(5分)

試験会場となる大学内に「ステーション」と呼ばれる部屋が複数用意されます。受験者は一定時間ごとに部屋を移動して、各室に示されている実技課題のうちの1つを実施するという流れです。

ステーション内に診察器具が設置されている場合は、必要なものを選んで診察します。(すべての器具を使用するとは限りません。)

 

また、タイマー付きの時計や、事前に作成したメモ、参考書などは試験会場に持ち込めませんので注意しましょう。

評価基準 

OSCEの評価基準は、全体の流れや円滑さ、医師としてふさわしくない行為がないかなどを評価する概略評価の2種類あり、実施大学の教員と他大学の教員によって行われます。

概略評価の区分は以下の通りです。

6:  優れている(医師と違いがないレベル)

5:  良い(学生としてはよくできるレベル)

4:  合格レベル

3:  合否境界領域

2:  不合格だが改善可能

1:  明らかに不合格

どの課題においても、多数の項目を用いて総合的に評価が行われます。

また、課題によっては「患者への配慮」と「診察技術」に評価項目が分かれているため、本物の患者さんが目の前にいると思って取り組むことが大切です。

OSCEに落ちたら?

OSCEは全ての課題領域に合格しないと臨床実習へ進めない試験であるため、合格率は約90%前後と言われています。しかしながら、本番に緊張して手間取って、時間切れとなってしまうなど不合格になる可能性もあります。

不合格の場合には合格基準に達しなかった項目だけを再度受験することになります。また、何らかの事由によって未受験の場合は追試験が受けられます。

ただし、再試験で不合格になった場合には、基本的にさらなる試験は行われません。不合格になった場合は臨床実習に進むことができず、進級できない場合もあるので注意が必要です。

十分な勉強と練習を重ねて合格できるよう対策しておきましょう。

OSCEの対策・勉強法

OSCEの受験にあたっては、ロールプレイなどのシミュレーション練習を重ねておき、試験環境に慣れておくことが重要です。また、時間制限があるため、スムーズに進められるように対策をしましょう。

以下より、レジナビ独自のインタビューで先輩医学生から伺った「具体的なOSCE対策・勉強方法」についてご紹介します。

専用の教材を活用する

共用試験実施機構や各大学から配布されるOSCE用の教材をまずは活用しましょう。具体的には、次の2点が重要になります。


1.評価項目を確認し、「どの部分がどのように評価される」か理解する
2.動画を視聴し、「実際の正解例」をイメージする

OSCE対策ノートを作成し、動画の内容を文字に起こしたり、「自分だったらどう動くか」といったシナリオを記載したりしても良いでしょう。
注意すべき点は、動画の内容が現在の評価項目に即さない場合がある点です。

あらかじめ確認しておきましょう。

ロールプレイをする

ロールプレイと同様に大切になるのがフィードバックです。ロールプレイでは、医師(受験者)側と、患者側で分かれることが多いと思いますが、患者側でしか得ることのできない気づきもあります。是非、気づいた点を友人に伝えると同時に、対策ノートにメモを残しておきましょう。

また、患者役(もしくは評価者役)を行う際は、その役になりきることが非常に重要です。気づいた点があっても途中で指摘することはせずに、時間通りにすべて完了した後、フィードバックを行うようにしましょう。

(番外編)大学の設備を有効活用する

OSCEの試験会場では、実際の診療器具を使って診察をする場面が出てきます。事前に器具の使い方をしっかりと頭に入れていても、試験本番は緊張のせいもあり、どのように扱えばよいか迷ってしまう可能性があります。

もし、自大学の設備を利用できる機会があれば、有効活用して器具の扱いに慣れておきましょう。

先輩医学生へのOSCEに関するインタビュー

試験対策はいつ頃から始めましたか?
試験日の1ヵ月前から大学でOSCEのための実習がはじまった。2週間前に“どのように対応するか”シナリオを作成し、最後の1週間で総仕上げの練習を行った。
夏休み明けから始めた。OSCEの試験は11月に実施した。
試験対策は1日どのくらい行っていましたか?
大学では1日8時間くらい行い、その他に毎日1、2時間行った。
授業の延長で2、3時間くらい行った。
試験日直前は1日4時間ほど行っていた。
試験を受ける前に思っていた印象と違う点はありましたか?
想像以上に緊張した。最初は緊張して固くなってしまったが、3課題目くらいから体が温まって対応できた。
思ったより時間がぎりぎりで、短い時間の中でやりきらなければいけなかった。
何を評価されているかがわかりにくく、少し不安に感じた。
試験で「うまくいった点」はありますか?
ミスした場面でも“やらかした!”とパニックにならず、やりきれてよかった。フリーズしてしまう事が最もよくないと思った。本番を想定した練習を繰り返した点が良かった。
問診演習を本番のような雰囲気・流れで何度も練習していたので、本番でも練習通りに行えた。
試験中の時間管理で注意する点はありますか?
練習の時から何分で行うと決めていたが、時間ギリギリになってしまった。もっと手際よくやっていく必要があった。
時間が不足していたので、思ったよりも急いでやった方が良かった。
模擬患者に聞く事が少なくて時間が余ってしまった課題があった。そういった際の対策も考えておけばよかった。
試験中に行うことで落ち着いた行動はありましたか?
最初の挨拶で大きい声を出すと、緊張をほぐすことができた。
緊張したが、ステーションの前に置いてあった消毒用アルコールを使って手指消毒をすると、落ち着く事ができた。
試験の難易度は高いと感じましたか?
練習したものの中から出題されるので、割と優しく感じた。
よくできたと思った課題の点が低かったり、難しく感じた課題の点が高かったりと、手応えと採点が乖離していたが、受かる・受からないという意味では難易度は高くないかもしれない。
試験対策で、後輩にアドバイスをお願いします
アウトプットが大事だと思った。共用試験実施機構の動画とチェックリストでインプットは完了できるので、あとはいかにアウトプットできるか練習を繰り返しましょう。
一人でやらずに友人と数をこなすことが大事です。
最初の課題は緊張するが、それが終われば2課題目以降は流れでできます。
緊張はするけれど、そのあと落ち着く事ができるため、最初は緊張しても仕方がないと思ってやりましょう。
「1つ2つミスをしたとしても、余程のミスでない限り評価は落ちないため、ミスに引きずられない事が大事です。

(2024年8月に医学部5年生の方へ実施したインタビューより)

本番を想定した試験対策をしっかりと行い、OSCEに合格しよう!

臨床実習に参加するために必須のOSCE。OSCEは合格率の高い試験ですが、しっかりと対策しておくことが大切です。評価項目を確実に頭に入れ、本番を想定したロールプレイを何度も行うことで、試験当日も落ち着いて課題に取り組めます。OSCEに合格して、医師への道を歩み進めましょう。

 

OSCEやCBTの対策が忙しい中、病院探しに手が回らない、という方もいるでしょう。

そんな時はレジナビWebをぜひご活用ください!レジナビWebでは、医学生・研修生の方の病院探しを応援しています。

 

現在は、約3,000件の求人情報も掲載中。気になる病院とのマッチングや病院見学、面接・エントリーシート対策などの、病院探しに関する情報まで、医学生や研修医の方に役立つ情報も幅広く発信しています。

いかがでしたでしょうか?
会員登録をすると、より多くの情報を閲覧できるだけでなく、病院との連絡やエントリーがスムーズに行えます。

研修先の病院探しをするなら、レジナビWebをぜひご活用ください。

自分にぴったりな研修先を見つけて、医師としてのキャリアを築く一歩としましょう。

こちらもおすすめ