【最新版】臨床研究医コースとは?研修内容や修了要件など徹底解説

更新日時:2024年8月28日

「臨床研究医コース」とは、日本専門医機構がこれまでの「専門研修制度」に新たに設置した、「臨床研究医」を養成することが目的の研修プログラムです。2024年度からはコースの期間が従来の7年から最短5年に短縮され、修了要件も緩和されました。今回は、臨床研究医コースの新たな研修内容や修了要件について詳しく解説します。

臨床研究医コースとは?

「臨床研究医コース」とは、2021年度から新設された、「臨床研究医」を養成する研修プログラムです。研究医は「基礎研究医」と「臨床研究医」の2つに分けられます。病気の原因などを解き明かす基礎研究に従事する「基礎研究医」とは異なり、「臨床研究医」は臨床に携りながら研究を行います。

2018年度から開始された新専門医制度では、臨床研究や医学教育に携わる医師をカバーしきれていないという問題点がありました。そのため、臨床医学の研究・教育を主な業務とする医師を育成するコースとして「臨床研究医コース」が新設されました。臨床研究医コースは、特定の基本領域の専門医資格と大学院での学位を取得できる内容になっています。

しかし、研修期間が長いことや、必要論文の難易度が高いことから応募人数が低迷しました。そのため、2024年度募集から、研修期間の短縮と論文執筆義務の緩和が行われました。

「臨床研究医」と「基礎研究医」の違い

「基礎研究医」は、大学医学部や研究機関に所属して基礎医学研究に従事する医師のことです。実際に臨床現場で患者の診察や治療もする臨床研究医とは異なり、診療行為を行うことはありません。

「臨床研究医」は基礎医学研究者と異なり、診療行為も行うので必ず医師免許が必要です。
「基礎医学研究」とは、病気のメカニズムの解明や人の体の仕組みを理解する研究であり、マウスなど実験動物や培養細胞を使って実験を進めます。

臨床研究医コースの研修内容

臨床研究医コースは、2024年度の改正で以下のとおり履修期間が見直されました。

臨床研究医コース

履修期間

2023年度以前 (旧) 

通算7年間
臨床フェーズ2年+研究フェーズ5年

2024年度以降 (新)

最短5年間
臨床フェーズ1年+研究フェーズ4年

コース開始後1年間は、特定の領域について集中的に臨床経験を積みます (臨床フェーズ) 。それ以後の4年間は、大学院や研究所などに所属し、エフォート*の50%以上を臨床医学、基礎医学、社会医学の研究に充てます (研究フェーズ) 。同時に臨床診療に従事し、カリキュラム制(年限を設けずに、一定の症例数で判断する)で専門医資格を取得します。

*エフォート:研究者の年間の仕事時間を100%とした場合、特定の研究実施に必要となる配分割合のこと。

臨床研究医コースの修了要件と履修方法

修了要件

臨床研究医コース

修了要件

2023年度以前 (旧) 

SCI(Science Citation Index)のついた英文雑誌において第一著者 として2 本以上の論文発表を行う必要がある。(case report は除く)

2024年度以降 (新)

SCI論文2本以上を執筆する。ただし、1本の論文に関しては、英文による症例報告か、和文による臨床研究に関する論文で代用することが可能である。

履修方法

臨床研究医コースは、日本専門医機構のホームページにて9月頃に募集を開始。履修方法は次の手順で進めます。

1.    日本専門医機構のシステムから専攻医登録を行い、研修プログラムを選んで応募

2.    研修を提供する施設において、面接や筆記試験、小論文などの選考を実施

3.    責任施設と基本領域学会、日本専門医機構で協議して合格者を決定し、対象者に通知

4.    不採用となった研修医は通常の専門研修プログラムに応募(臨床研究医コースは、通常の専門研修プログラムよりも先に募集が行われる)

研修中の身分保障

臨床研究医コースを選択した場合、大学院などに所属して研究に携わる場合と異なり、コース在籍中の身分保障がなされ、給与も発生することが大きなメリットです。1年目の臨床フェーズでは、通常の専門研修と同様に給与および身分保障を受けられます。
2年目からの研究フェーズでは、社会人大学院制度か、これに準じた責任医療機関の規定に従って、給与・社会保険などの身分保障を受けられます。大学院の授業の受講や研究も業務として給与を受け取れるので、安心して研究に取り組みやすい環境を用意されているといえるでしょう。

特定の理由のある場合の措置

留学や出産、病気療養などで研修が困難な時は、基本領域学会、日本専門医機構に連絡し期間延長を協議。研究の必要に応じて留学するときは、その間は研修期間に含めることができます。

 

その他にも、日本専門医機構の公式ホームページに臨床研究医コースの「よくある質問」が掲載されています。詳細が気になる方は以下よりご確認ください。

参考:臨床研究医コースの「よくある疑問」はこちらからチェック!

臨床研究医はこんな人におすすめ

おさらいになりますが、臨床研究医とは、患者の診察・治療に携わりながら臨床に関する研究を行う医師のことで、新しい治療法や診断法の開発に貢献する臨床研究を実施します。
臨床研究とは、疾病の予防方法、診断方法及び治療方法の改善、疾病原因及び病態の理解並びに患者の生活の質の向上を目的として実施される医学系研究であり、人を対象とするものです。

臨床研究医に向いている人は、以下の特徴が挙げられます。

・医学の発展に貢献したい人

・多様なキャリアを希望する人

・好奇心の強い人

医学の発展に貢献したい人

臨床研究医は、臨床だけでなく、新薬の開発や新しい治療法の確立など医学の発展に貢献したい人に向いています。例えば、COVID-19パンデミックの終息に大きな役割を果たしたワクチン開発では、臨床試験による有効性や安全性の検証が不可欠でした。
臨床研究医として、病気の根本的なメカニズムの解明や新しい治療法の開発に携わることにより、より多くの患者を助けられるキャリアに繋がるでしょう。

多様なキャリアを希望する人

臨床研究医には、病院だけではなく、大学、大学院、研究機関、企業など、さまざまなキャリアがあることも特徴です。仕事の内容も、診察、臨床研究や治験に関する業務、人材育成、新薬や医療機器の開発など、就職先によって求められるものが変わってきます。
臨床研究医は、臨床経験と研究スキルを兼ね備えた医師として、将来の選択肢を広げることができるでしょう。

好奇心の強い人

臨床研究医は最新の医療に触れることができる職種です。未知の病気を解き明かし、新たな治療法を開発する、いわば医療界の探検家といえます。「なぜこの病気が起こるのか?」「より良い治療法はないのか?」と常に疑問や関心を持ち続け、根気強く研究を続けることが求められるため、「知りたい」という強い好奇心がある人には向いているでしょう。

臨床研究医コースについて
詳しく理解し、
自分に合ったキャリアを
目指そう

この記事では、臨床研究医コースの新たな研修内容や修了要件について詳しく解説しました。
臨床研究医コースは、医学研究を担う医師を養成するために新設された研修プログラムです。
2024年度からコース期間の短縮、修了要件の緩和が行われ、臨床研究医としてのキャリアパスが立てやすくなりました。臨床研究医として、自分に合ったキャリア形成をしていくことが大切です。

いかがでしたでしょうか?
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