*本記事は、2023年10月にオンラインで開催した「専攻医が語る!専門研修生活」の内容です。
市中病院と大学病院で外科専門研修中の専攻医2名が、プログラムの違いや具体的な働き方などを本音で語り合う座談会。今回は、各専攻医がどのように1週間を過ごしているのか、スライドを使って説明します。それぞれの病院勤務で特徴的な業務とは・・・?

出演者紹介

◆ファシリテーター◆

松田 論先生 

慶應義塾大学医学部 外科学(一般・消化器) 助教

若手消化器外科医の会「Under40」においてもご活躍中

◆パネリスト◆

渡邉 大海先生 

石巻赤十字病院 外科専攻医3年目

初期研修先:東北大学病院

◆パネリスト◆

金城 大典先生 

大阪大学医学部附属病院 外科専攻医3年目

初期研修先:虎の門病院

市中病院は●●が多い?!専攻医のリアルな研修生活

松田:専攻医の先生方は毎日どのような生活をしているのか、1週間のスケジュールをまずはご紹介いただきましょう。

市中病院の研修の特徴

渡邉:1週間のスケジュールを作ってくださいと言われて作ったのですが、、、まったく読めません(笑)。予定通りに行くことの方がどれくらいなんだろう、って感じなので(笑)一般的なスケジュールを書いてみました。勤務時間はだいたい8~17時くらいで、帰れる日はすぐ帰っています。私の場合は娘がいるので、もちろん帰っていますけど、週に1回外科当番、そのほかに月に2回救急の準夜勤があります。そのほか週に3-4回は執刀や助手も含めて手術に入っています。1回は救急対応があったりなかったり。私の病院では外来日が設けられているので、自分の術後の患者さんは自分で診ています。休日はデューティがあるわけではないのですが、月に1回土日の担当と、それ以外は術後の患者さんの回診に行ったり、患者数が多い時は日曜日の夜に病院に行ってチェックしたりしますが、自分の予定や余力次第で臨機応変にやっています。

松田:金城先生は渡邊先生に対して何かご質問はありますか。

金城:ちょうど市中の大阪警察病院の自分の1週間のスケジュールとほぼ同じですね。カンファレンスの数が市中病院にしては多い印象がありますね。これは毎朝申し送りされているから休日当番制が敷けているのかな、という感じがしますが。

渡邉:そうですね。カンファレンスや術前術後のチェックは、チーム制として徹底し始めています。働き方改革に関連して徐々に強化されていく部分と、人数を減らしていく部分がある中で、このようなスケジュールになりつつあります。

金城:あとは外来ですね。僕も市中病院にいた時には外来をやっていたのですが、専攻医が外来をやる病院とやらない病院がありますよね

渡邉:そうですね。大きく違いますよね。最初は外来がすごく嫌で、手術をやりたかったので、外来日がとても苦痛で午前中に外来を終わらせて午後は手術に入るとか、そういうことをしていました。ただ、徐々にがんの手術をするようになると、外来の大切さというか、自分が侵襲を加えた患者さんは自分で診たい。自分で診ることで得ることがたくさんあるな、と思って、今では外来日があってよかったなと思います。ただ、最初の頃は外来日は本当に嫌いでした(笑)。

松田:内視鏡などの検査日などはありますか?

渡邉:当院(石巻赤十字病院)の場合は上下部の内視鏡は消化器内科がやっていますが、関連病院だと外科が上下部の内視鏡をやったりするところはありますね。検査の日はこの合間などに、通しの検査をやっている日があります。

大学病院の研修の特徴

松田:では、続いて金城先生お願いいたします。

金城:こちらは、大阪警察病院から大学病院に移ってからのスケジュールです。市中病院にいたときは、渡邊先生のスケジュールと同じように週に3,4回くらい手術に入らせてもらっていたんですけれど、大学病院は大きい手術が多くて17時に終わらないものも多く、半日で終わるような手術はほとんどありません。自分自身が入る手術は週に2回くらいかなと思います。

それ以外の日は病棟を見たり、チューブ類の入れ替えだったり、内視鏡の検査は大学病院ですることはないですけれど、ドレーンワークだったり。僕がこの時間に手術をやっているということは、自分と一緒にローテ―トしている同期が他の日は長い手術に入っているので、同期の患者を代診医として診たりする日が週に3日あります。

松田渡邊先生のスケジュールと比較して手術の時間が減って病棟業務が増えている印象がありますね。手術の時間も侵襲も大きい分、病棟管理に一定のエフォートが必要なので、手術をやっている分、逆の立場として病棟業務に時間が大きく割かれる、ということですかね。

金城:そうですね。自分が持っている患者さん自体もチャレンジングな症例の方も多いです。例えば、今日手術に入っている同期が主治医として持っている患者をそれ以外のメンバーで診なければいけません。それらもヘビーな症例が多いですし、これだけを病棟業務に割いていても、暇ではないなと思います。

渡邉:担当患者さんは何人くらい持っていますか?

金城:大学病院に来てからは8~12人くらいです。

渡邉:ちなみに大阪警察病院のときは何人くらいでしたか?

金城:市中病院にいた時もそんなに大きくは変わらないかなと思いますね。

渡邉一症例ごとの重症度が違うのかなという印象があって、大学の方が同じ8人でも、かなり大変なんじゃないかなという印象を持ちますね。

金城そうですね、大学に移動してから病棟業務に割く時間は増えました。市中病院だともう少し患者数が多い病院などもあると思うんですけれど、大阪警察病院はチーム制ではなくて主治医制だったので、自分が目を通してある程度自分の責任で見ていく患者さんが10人ちょっと、というのも意外と暇じゃないなと思いました。

松田:この「事務作業」とは具体的にどういう業務ですか?書類や診断書を書いたり、あるいは研究活動ですか?

金城:ここはカルテ入力や診断書の作成などです。

勤務時間や週末の勤務

松田:朝の出勤時間と退勤時間はならしてどれくらいですか?もちろん手術の長さによって変わるとは思いますが。

渡邉:朝は7時半くらいで、帰れる日は17時です。当番の日は割と泊まっちゃうので、その日は帰れません。日中の手術はその日によるので、終われば帰るし、終わらなければ帰れない、帰らない・・(笑)。

金城:7時半くらいで19時半くらいに帰ります。大学病院だと外勤(バイトに行く)日があるので、そういう日は17時に帰らせてもらえます。

松田:当直外勤ということですね。

金城:そうです。自分の同期が外勤の日には、手術を途中で変わったりするので、いつでも入れるように準備をしていたりします。

渡邉:外勤の頻度はどれくらいですか?

金城:自分がどれくらい行きたいかによりますが、週に1,2回くらいです。

 

松田:チーム制が導入される施設が増えてきていますが、ご自身が手術の患者さんが重症で合併症がある日を除いて、通常の土日のスケジュールはどうなっていますか。

渡邉:私が専攻医1年目の頃はほぼ毎日行っていました。でも今は、来ると怒られる、というか、そういう時代じゃなくなっているから当番じゃない日は来るな、というふうに診療科内でなりつつあります。とはいえ、金曜日に手術をすると土曜日には来てしまうんですけれども、日曜日や土曜日の午後は基本的には「来ないこと」も業務の一環として、意識しています。現時点で月に1回の土日出勤があるので、それ以外の月に3回くらいの土日は基本的には来てはいけない日になっています。

金城:自分が市中病院にいたときは、主治医制だったこともあって土日の朝は病院に行っていました。大学病院になってからは、他のメンバーの患者を診たり、引き継いだりということをしょっちゅうやっているので、ある程度みんなわかるようになっています。土日は休みやすい環境にはなっているので、当番の日以外はまったく来ない、という土壌になっています。

 

松田:金城先生の場合は、主治医制からチーム制に変わられて体制の違いを実感しているところもあるでしょうね。

いかがでしたでしょうか。市中病院と大学病院の働き方や特徴が具体的にわかりましたね。
当座談会の様子は以下の動画アーカイブからもご覧いただくことができます。

働き方改革の影響や

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