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睡眠不足にカフェインはどの程度有効か

2021/06/14
パッケージニュース
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夜更かしした翌日をコーヒーで乗り切ろうとしても、必ずしもうまくいくわけではないようだ。コーヒーなどに含まれるカフェインの摂取により覚醒状態は維持されるものの、パフォーマンスレベルは通常より劣り、特に、難易度の高いタスクの遂行が難しくなることが、米ミシガン州立大学心理学部のKimberly Fenn氏らによる研究で明らかになった。詳細は、「Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition」に5月20日掲載された。 この研究では、276人の参加者を対象に、睡眠不足が認知機能に及ぼす負の影響をカフェインによりどの程度打ち消すことができるのかを調べた。参加者の認知機能は精神運動覚醒検査(PVT)とプレイスキーピングタスクの2種類の検査で評価した。前者は、光や文字に反応してボタンを押すスピードを計測する単純な注意力検査である。後者は、所定のタスクを、途中の手順を飛ばしたり繰り返したりすることなく、特定の順序で完了させる課題で、前者よりも困難である。Fenn氏らは、参加者を夕方に研究室に集めてこれらの試験を行った後、研究室に残って徹夜をする群と自宅で眠る群にランダムに割り付けた。翌朝、再び研究室に集まった参加者全員に、カフェイン200mg〔カップ1杯(約230mL)のレギュラーコーヒーに含まれるカフェインは75〜120mg〕、またはプラセボを摂取させた上で、再度、2種類の検査を実施した。 その結果、睡眠不足の人では、PVTとプレイスキーピングタスクの双方でパフォーマンスが低下することが明らかになった。また、カフェインの摂取によりPVTでのパフォーマンスは改善したが、プレイスキーピング能力にカフェインが及ぼす有意な影響については確認されなかった。 こうした結果を受けてFenn氏は、「カフェインは、気分と覚醒状態を改善し、単純な作業に専心するのには役立つようだが、より複雑な作業を遂行する能力の改善にはほとんど役立たないようだ」と述べている。その上で同氏は、「カフェインは一晩の睡眠の代わりにはならない。それゆえ、睡眠を優先することが何より大切だ。万一、徹夜をする必要がある場合には、必要な予防措置を講じ、車の運転や危険を伴う作業などは避けるべきだ」とも話している。 今回の研究には関与していない、米ヘンリー・フォード・ヘルスシステムのSleep Disorders and Research Centerでディレクターを務めるThomas Roth氏は、「この研究は、一晩の睡眠不足による悪影響をカフェインでどの程度打ち消せるかを調べただけだ。だが、睡眠不足は慢性的な場合が多い」と指摘する。そして、「一晩に5時間の睡眠では、睡眠負債が溜まる一方だ。そのため、たとえ1日目はコーヒーが役立ったとしても、5日目には睡眠負債が溜まっているので、コーヒーの有効性も低下するだろう」と話している。 さらに、米Sleep and Internal Medicine SpecialistsのメディカルディレクターであるCamilo Ruiz氏は、「睡眠不足問題の解決策としてカフェインに頼っていると、耐性がつく可能性もある。そうなると、覚醒状態を保つために必要となるカフェイン量がどんどん増え、副作用のリスクも高まる」と別のリスクに言及する。同氏は、「カフェインは長い間、集中力を高めるための一時的な刺激剤として使用されてきた。しかし、その効果の持続期間は短く、動悸や神経過敏、頻尿などの副作用も多い。場合によっては、そうした副作用が睡眠不足による注意力の欠如や眠気よりもひどくなることすらある」と注意を呼び掛けている。(HealthDay News 2021年6月2日) https://consumer.healthday.com/6-2-sleep-deprived-… Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.