平成30(2018)年12月31日現在(医師・歯科医師・薬剤師調査)で、5,682人となっており、人口10万人対197.5人と全国平均258.8人を大きく下回り、全国46位と低位の状況にあります。
県内の二次保健医療圏別では、つくば保健医療圏が413.7人と全国平均の258.8人を上回る一方、鹿行保健医療圏、筑西・下妻保健医療圏、常陸太田・ひたちなか保健医療圏では全国平均の半分に満たないなど、医師の地域偏在がみられます。
●各医療圏の実情・課題等を分析し、随時、最優先で取り組む目標を設定。早急な実現に向け施策の重点化を図る。
県が2020年(令和2年)9月までの医師確保に取り組む最優先の医療機関・診療科16名
二次医療圏 | 医療機関 | 確保が必要な診療科・医師数 |
---|---|---|
日立 | (株)日立製作所日立総合病院 | 産婦人科×4、小児科×2 |
常陸太田・ひたちなか | 常陸大宮済生会病院 | 内科(救急科)×3 |
鹿行 | 神栖済生会病院 | 整形外科×3 |
土浦 | 総合病院土浦協同病院 | 産婦人科×2 |
取手・竜ケ崎 | JAとりで総合医療センター | 小児科×2 |
茨城県では、若手医師の皆さんが県内の医療機関で充実した勤務を過ごしながら自分の希望に応じたキャリアアップが図れるよう、2012年4月から若手医師の皆さんをサポートする「茨城県地域医療支援センター」を設置しています。
地域医療支援センターでは、地域医療のために必要な手技から最先端の高度医療まで、若手のうちに学ぶべき知識や経験を取得できるよう、県内の医療機関や県医師会、筑波大学をはじめとした医科大学が一体となって、若手医師の皆さんを支援していきます。
県内で勤務する医師の能力向上のため、海外の医療現場に一定期間派遣します。なお、派遣期間中の経費は県が負担します。
※時期は予定
地域において政策的医療を担う病院を中心に、SimMan3G や超音波診断ファントム、アキュタッチシステムといった最先端のシミュレーション機器を巡回させて、トレーニングをする機会を提供します。
機器巡回先病院にて、講師役と受講者役を交替しながら、急変症例のシナリオを体験することにより、指導方法等について両方の視点から学ぶことができるセミナーを実施。
指導体制の充実を図るため、著名な講師が県内の医療機関を循環し、実際の症例をもとにしたケースカンファレンスやベッドサイドでの教育研修を実施しています。2019年度は6日間にわたり、11医療機関で開催しました。
総合診療科の第一人者である徳田安春先生が、県内の各医療機関を巡回し、直接、先進的かつ実践的な指導を実施します。
充実した臨床研修のためには指導体制の強化が不可欠です。国のガイドラインに基づいた「指導医養成講習会」を開催し、指導医の指導技術の向上を図っています。これまでの修了者は約1,800名(2020年3月現在)となっています。
緊急を要する急病患者に対応できるよう、日本内科学会が各ガイドラインに基づいて推奨している救急蘇生講習会を実施しています。
超音波装置の安全な使用法・ハンズオン・疾患別のエコー所見等を、少人数制で医師及び技師の方から直接ご指導いただける研修会を実施しています。
茨城県内の研修医を対象とする、日本ACLS協会のAHA(アメリカ心臓協会)公認プログラムによる救命処置研修を実施しています。
※各事業の日程については、決定次第、地域医療支援センターホームページに随時掲載しております。
ぜひ、ご覧ください。
茨城県地域医療支援センターホームページhttps://ibaraki-dl.jp
女性医師の応援を通して医師全てが
働きやすい環境の実現を目指しています
茨城県医師会では茨城県からの委託を受けて女性医師の総合的な相談窓口を開設しています。医学生、研修医、女性医師のみならず男性医師からの相談を受け付けています。これから茨城県で働こうと考えている医師の皆様もぜひご活用ください。(ご利用に医師会加入の有無は問いません)
茨城県では、医師が継続して就業できる環境を整備するため、子どもの体調不良時でも安心して勤務できる体制の整備を促進しています。
茨城県は、仕事と子育ての両立に役立つ支援制度があります。子育てには様々な不安や悩みがつきものです。県内の市町村には多様な子育てサービスがあります。上手に活用して、仕事も子育ても楽しめるようにしましょう!
茨城県には、高い臨床力、働きやすさ、
病院の枠をこえた仲間たち、そして大きなやりがいを
得ることができる、
医療環境がある
茨城県立中央病院 初期研修医2年目
池田 佳織(イケダ・カオリ)先生
初期研修病院を「茨城県立中央病院」に選んだ理由は、一般的な診療科が揃っている地域を支える総合病院であるため、幅広い領域を経験することができ、専攻医研修の選択肢が広がると思ったこと。さらに、病院見学で救急外来を見学したとき、初期研修医の先生方がテキパキと対応している姿をみて、「ここまでできるようになるんだ!」と感銘を受け、ここでならどんな症例にも冷静に対応できる度胸と高い臨床力を獲得できると思ったことが大きな理由です。
医師数が多くない茨城県では、研修医であっても一医師として大きな戦力と考えられ、早い段階から診療に携わることができます。実際に、1年目の4月から、さまざまな症例や手技を実践経験することができました。救急外来は、ファーストタッチは全て研修医が行い、自らアセスメントを立て、上の先生にフィードバックをもらいながらの研修をします。自ら考え、判断できる力をしっかり養うことができ、日々の成長を実感できるほど充実したものでした。最終的な判断や治療方針は上の先生が決めるため、余分なプレッシャーを感じることなく安心して医療に臨むことができましたし、研修医であっても戦力として医療に携われる環境は大きなやりがいにもなり、より主体的な研修へとつながりました。
茨城県の患者さんは研修医や若手医師の診療に協力的であり、とても仕事がしやすい環境にあります。また、都市部のように数多の病院が密集している環境でないため、一つの病院に広範囲から患者さんが訪れます。これは幅広い症例を診ることができるというメリットの他にも、患者さんは病院の選択肢が少ないため、研修医であっても頼りにされる医療環境にあり、医師としての大きな責任を自覚しながら、モチベーション高く仕事や研鑽を積むことができます。
大学や病院の枠を超えた
横のつながりができる魅力
茨城県では、若手医師のサポート体制も充実しています。その一環として、県内の医学生や研修医が一堂に集まる機会が設けられており、大学や病院の枠を超えた横のつながりができることも大きな魅力です。
自分の出身大学や研修病院という狭い範囲ではなく、他大学出身者や他病院に広く知り合いができることで、それぞれが見学した病院のことや、働いている病院について多くの仲間と情報交換をすることができ、自分に合った研修先や入局先など、進路を決める際の大きな参考材料にすることができます。また、こうした横のつながりは、いずれ診療で困ったことがあれば病院の枠を超えて気軽に相談できる、長い医師人生を通した頼れる仲間となるでしょう。
私は専攻医研修を産婦人科に決めましたが、産婦人科に進もうと思ったのは、ハイリスク妊産婦に対する高度医療を提供している「水戸済生会病院」で産婦人科研修をした際、緊急のお産を経験したことがきっかけです。専攻医応募期限のギリギリまで循環器内科と迷いましたが、産婦人科を選んだのは手術をしたかったこともありますが、研修中に小さなお子さんのいる若い女性の末期がん患者さんを診た経験から、高齢患者さんが多い科よりも、20代、30代でも卵巣がんや子宮頸がんで亡くなってしまう若い方たちの50年、60年という長い人生を救いたいと強く思ったからです。
進路について専攻医応募期限のギリギリまで真剣に考え、悩むことができたのは、研修医の早い段階から実践による経験によって、いろんな診療科の魅力を知ることができたからこそであり、悩みに悩み抜いて自分自身でしっかり決めた進路だからこそ、私にとって最適な、本当にやりたい診療科を選ぶことができたと感じています。
茨城県は医師少数県であり、産婦人科でいえば腹腔鏡手術ができる病院が少ないなど、医療資源が充分ではない状況にあります。これらはネガティブなことかもしれませんが、逆にこうした状況は一人ひとりが活躍できるチャンスが豊富にあるということであり、研鑽を積む若手医師にとって非常に大きなメリットであると思っています。
私自身、腹腔鏡手術に興味があり、セミナー参加など出来る限り参加していきたいと思っています。また、茨城出身の方が安心して地元に戻って里帰り出産ができるような環境づくりに少しでも貢献したいですし、これからの医療を支える医学生や私たち若い医師たちによって、高い医療水準を誇る茨城県をつくっていけたらと思っています。
続きを読む 閉じる