Runners~研修の現場から

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「地域事情の違いで異なる医療のあり方を実感できることが、地域医療に携わる醍醐味だと思います。」
高浜町国民健康保険和田診療所所長 井階 友貴 先生
初期研修:市中病院 → 後期研修:市中病院
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Profile

井階 友貴 先生(1980年生まれ)
  • 2005年 滋賀医科大学医学部卒業
  • 2005年4月~ 済生会滋賀県病院初期研修医
  • 2007年4月~ 兵庫県立柏原病院内科専攻医
  • 2008年4月~ 高浜町国民保険和田診療所勤務
    (※福井大学医学部プライマリケア講座 助教)

初期研修先選びについて

高浜町国民健康保険和田診療所所長 井階 友貴 先生
Q 病院探しはどのように進められましたか?
私は出身大学の地元にある病院をすべて回ってみてその中から選ぶ、といった探し方をしていました。というのも、在学時より交際していた看護科の同期生と卒業時に結婚したこともあり、初期研修で滋賀を離れる選択肢は除外していたからです。一般に看護師さんは卒後3年間勤続して初めて1人前になるとされており、妻に合わせて私も初期研修期間中は滋賀県内で過ごそうと考えていました。
Q 病院選びの決め手を教えていただけますか?
済生会滋賀県病院は救急指定病院でもあり、親しい先輩が既にお世話になってもいました。元々総合診療に興味があったのですが、初期研修ではしっかりした救急を経験することも大事だと思っていたこと、他に研修プログラム責任者の先生のお話を伺って高いモチベーションが感じられたこと、さらに施設の新しさやハード面が充実していたことなどで、こちらにお世話になろうと決断するに至りました。
ちなみに私達の頃は新たな研修制度が始まってまだ2年目だったこともあり、マルチプルチョイスのような問題を試験として出題する病院は、よほど人気のある病院に限られていました。その代わり重要だったのは、見学や実習を通じて、積極的に行きたい病院にアプローチすることでした。試験は面接のみで、希望通りマッチできました。

後期研修先選びについて

Q 病院探しの際は、どのようなことをお考えでしたか?
学生時代から総合診療や家庭医に興味を持っていたのですが、一方で本当にその道でやっていけるか、ときに不安も感じていました。1つには「家庭医」像が高度に専門的な「家庭医療」の知識を身につけた人達だけのもののように感じられる体験があったためであり、また1つには、日本で既存特定科の専門を持たずに総合診療のキャリアを積む社会的支えがあまりにもないと感じられたためでした。そういった不安もあり、希望する後期研修先は、内科全般を経験できるところへ傾いていきました。
Q 情報収集はどのようにされましたか?
滋賀県病院に残るか地元に近い病院へ移るかの2つで迷っていたのですが、参考までに「レジナビフェア in 大阪」に参加しました。どんな研修病院があるのかを効率的に知ることができましたが、最初の方針を覆すまでには至りませんでした。
Q 何故、兵庫県立柏原病院を選ばれたのですか?
出身地で幼い頃に抱いた頼もしい中核病院という印象から、内科全般の勉強ができると期待して、また地元の医療を見てみたいという気持ちも手伝って、お世話になることにしました。
ちなみに既に子供が1人生まれていて、子育ての点でも実家に近い方が何かと都合がよかったですね。なお試験は形式的な面接のみで、比較的簡単な手続きでした。

研修で印象に残っていること

Q 初期研修期間では、どのようなことが印象に残っていますか?
今でも良かったなと思っていることが2つありまして、1つは、月4~5回の救急当直(当日の平均睡眠時間2~3時間程度)です。大変苦労はしたのですが、若いうちに現場を経験できたこと、また大勢の患者さんを引き受ける中でトリアージの考え方を自然と身につけられたことは、貴重でした。
もう1つは自由選択期間中の、特に検査部、皮膚科、整形外科のローテーションです。
まず検査部研修は心臓を中心としたエコー研修で、そこで得られた知識や技術は、検査機器の少ない診療所では非常に役立っています。次に皮膚科ですが、地域医療のプライマリ・ケア現場には皮膚のトラブルを訴える患者さんが非常に多くおられ、もしも回っていなかったら戸惑うことも多かったのではないかと想像してしまいます。整形外科も皮膚科同様患者さんが多いのですが、理解ある先生方のお蔭で外来研修を受けられたことにより、関節注射の手技など現在の診療に直接活かされています。
Q 後期研修期間では、どのようなことが印象に残っていますか?
1年目の柏原病院(兵庫県)では、健康時から罹患時まで患者さんを地域ぐるみで診る医療、というものが容易には実現しないことを感じました。というのも医師の減少が著しい病院・地域では、診療所からの紹介をまともに受け入れられない断片的な医療が目立つからです。けれどもそのような中、医療崩壊の進行に抗する医療者・住民の活動に医療社会的側面を垣間見ることができ、私は影響を受けました。
和田診療所(福井県)へは、医療者として地域医療の現場にもっと出たいという思いで、2年目以降に柏原病院から移りました。
福井大学医学部附属病院総合診療部との連携が深いため指導体制は充実しており、外来診療、訪問診療(在宅医療)、学校医、特別養護老人ホーム嘱託医、産業医などの診療所勤務職、さらに「地域プライマリケア講座」として進められている医学教育、住民啓発の業務など、地域・家庭医療研修と並行して地域医療システム学研修を経験できていることで、大変充実した時間を過ごすことができています。

後輩の皆さんへのメッセージ

私は地域の医療を専門にして数年の経験を積んでいますが、よほど積極的に活動している方でない限り、医学生の皆さんは地域医療について実感できる機会がほとんどないのではないでしょうか。将来について考えるためにも、大学の講義や実習ばかりでなく、いろいろなことに興味を持って大学生活、研修医生活を送られることをお勧めします。
私は地域医療の醍醐味は、地域ごとでアクセス、医療資源の多寡、産業の違い、医者に対する見方など様々な事情があり、それらに応じて異なる医療があるということではないかと思っています。テレビやWebサイトを眺めたり、書籍を読んだりというだけでは分からない、その「地域」で働くことの楽しさを知ってもらえたら幸いです。

次回の「Runners~研修の現場から」もお楽しみに。

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