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- Runners~研修の現場から
- 第7回
- 「礼節を守って経験を積ませてもらいながら、初志を貫徹していきたい」
- 千葉大学医学部附属病院初期研修医 岡原 陽二 先生

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Profile
- 岡原 陽二 先生(1983年生まれ)
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- 2008年 千葉大学医学部卒業
- 2008年度~2009年度 千葉大学医学部附属病院初期研修医(1年目:国立病院機構千葉医療センター)
初期研修先選びについて

- Q 初期研修先を選ぶ際に、どのようなことを心掛けましたか?
- 千葉か東京で脳外科を診られる病院を考えていました。最終的には、充実した大学時代を過ごさせてくれた千葉に、恩返しの意味も込めて残ることに決めました。
- Q いつ頃から活動を始め、どのように情報収集をされましたか?
- 5年生の冬くらいからです。周囲では5年生の春や夏からが多かったのですが、私は強く脳外科を志望していたので、そこに力を入れている病院が採用してくれるのではないか、と考えていたところもありますね。
最初に、脳外科医数が多く、外科系症例数の多い研修病院をリストアップしました。具体的には、交通外傷に強い名戸ヶ谷病院や脳卒中ユニットのある荏原病院、脳外科コースのある国立国際医療センター、千葉市救急車受入数1位の国立病院機構千葉医療センターなどです。
クリニカルクラークシップで千葉医療センターの脳外科を6年の5月に3週間回り、同じ月に平日休みをもらって国際医療センターを見学しました。それから、荏原病院へ6、7月に1回ずつ、名戸ヶ谷病院に7月に訪問しました。
特に印象的だったのは、外科と整形外科と脳外科が強く、千葉でも1、2位を争って救急車受入数を誇る名戸ヶ谷病院の交通外傷に対する突出した高い意識でした。
しかし、2年間同じ病院で過ごすことで生じるだろう偏りに不安を感じ、千葉大学のたすき掛けプログラム(1年目:千葉医療センター、2年目:千葉大学)をマッチングの第1希望にしました。元々、学術的なことに興味が強く、研究志向であったこともその決断を後押ししたと思います。 - Q 試験はいかがでしたか?
- 千葉大学はCBTのような筆記試験と面接で、面接はケーススタディーや妊婦のたらい回しについての意見を求められるなど、15分程度でした。名戸ヶ谷病院は5問程度の英文読解試験が120分と面接。千葉医療センターは選択式の筆記試験と15分程度の面接ですが、筆記は英文1題の他、各科の先生がそれぞれにAEDの値段や野口英世の妻の名前など、変わった問題も出題されていました。ある意味難問でしたね。国立国際医療センターは英語論文の読解(1時間)とマイナー系問題でしたが、比較的易しかった印象があります。面接は多人数形式でした。荏原病院は面接だけですが、医学的な内容を質問されます。胆汁排泄経路や脂溶性ビタミンについてなど、概ね基本的なことでしたが、最後に専門的な質問を受けた記憶があります。
後期研修以降のキャリアについて
- Q 初期研修修了後、どういった方向へ進もうとお考えでしょうか?
- 高校時代、「脳のなかの幽霊」(V.S.ラマチャンドラン、サンドラ・ブレイクスリー共著)という本を読んで、脳機能の回復や解明に強く興味を抱き医師を志しました。今もその気持ちは変わらず、本来の志望動機に副ってキャリアを積んでいきたいと考えています。今のところは、千葉大学脳神経外科で脳に関わる臨床研究へ進んでいければと考えています。将来は外科的なことだけでなく、機能回復、QOLに関わる仕事をしていきたいですね。後期研修が終わって専門医試験がある卒後7年目が、ひとつの区切りになると思います。
初期研修医としての経験や思いについて

- Q 研修医としてここまで過ごされてきて、特に印象に残っていることはどのようなことでしょうか?
- 1年目の5月頃に初めての当直があったのですが、上級医の先生がICUに懸かりきりで救急外来室に看護師長さんと二人きりの中、血圧90以下の意識障害の方が運ばれてきて、指示を求められた私は、未熟な自分自身を忘れ、病歴から低血糖と判断して勝手に処置を開始しました。ところがその後、超高血糖であることが判明して、上級医の先生にひどく叱られたことがありました。
もともと「何でもやれる」と飛躍しがちである自分がいて、直さなければと思っていたのですが、それを契機にまだ自分は「医者」としての実力はなく、飽くまで「研修医」なのだと改めて心に刻むに至りました。
責任ある行為をするには経験があまりにも不足している。失敗を反省しつつ実践の場を一つ一つ経験していく以外に成長する道はないのだから、社会人として礼節を保ちながら経験を積むことが大切だと思うようになりました。 - Q 普段、勤務している中で、気をつけているのはどのようなことでしょうか?
- 1点目は、繰り返しになりますが、自分はまだ「医者」ではないことを忘れないことです。また、研修医として積極的であることは構いませんが、教えてもらって当然だという態度で指導医の先生方に接するのはどうかなと思います。むしろ進んで雑用を片付けて、学べる状況を作ることが大切だと思っています。
2点目は、実践の中で「治療の適応」を身につけていくことです。
症状それぞれに対して「治療の適応」がありますが、机上での知識習得段階から臨床現場での診療行為へ移行する際、私はこれが非常に重要になると思います。初期研修医として様々な科を回る利点を生かし、本来の志望科にいるときに、他科に適切なコンサルができるようになることを目標にして、そのためにどの科においても自分なりに設定したテーマに従って研修するようにしています。 - Q 大学病院の研修は、どのようなところに魅力を感じていますか?
- 大学では各症例について突き詰めて検討します。患者さんが元気になることばかりがゴールではなく、原因は何か、本当にそうか、等と吟味する姿勢が盛んで、カンファレンスは長時間にわたることもままあります。複数回の長時間のカンファレンス、資料の準備、スライド進行等が、研修医によってはひどく負担に感じられるケースもあるようです。それでも指導医がフィードバックしてくれることで貴重な知識が豊富に得られることは間違いありません。大学病院は優秀で、教育にもセンスのある先生方が多いように思うので、知的好奇心を刺激される日々が、私にとっては大変魅力的です。
後輩の皆さんへのメッセージ
- 学生から社会人へと成長していく過程としての初期研修生活は、非常に多くのことが学べると思います。自分に合った研修先を選ぶことは重要ですが、始まってみて違和感を抱くこともあるでしょう。しかしそれを理由に毎日を漫然と過ごすのはつまらないことです。また、志望していない科を回ることもあるでしょう。しかしそれを理由にその期間を疎かに過ごすことは適切な判断でしょうか?現行制度の下で、「自分にはこの科のローテーションは意味がない」と洩らし続けることは、指導医の先生方に失礼なことだと思います。選択し得る中で自分にとってよい研修の形を発見する努力をすることを、私は皆さんにお勧めします。
次回の「Runners~研修の現場から」もお楽しみに。


