- TOP
- Runners~研修の現場から
- 第5回
- 「興味があるなら飛び込んでみては。」
- 聖路加国際病院初期研修医 吉田 晴香 先生

- »アイコンについて
Profile
- 吉田 晴香 先生(1982年生まれ)
-
- 2008年 札幌医科大学卒業
- 2008年度~ 聖路加国際病院初期研修医
初期研修先選びについて

- Q どのようなことに気をつけ、また情報収集をされていましたか?
- 国際保健の情報量と研修後のキャリアの選択肢も視野に入れて、東京の施設を中心に考え、何より多様な価値観に理解のある環境を希望していました。周囲には4年生で見学へ行き始める人もいましたが、私は公衆衛生や国際保健の勉強にも時間を使っていましたので、マッチング前の最後の長期休暇である6年生に上がる春になって初めて説明会などへ行きました。初期研修では確かな臨床経験を積みたいと考えていましたので、先輩からの情報収集を中心に本なども参考にし、候補は厳選しました。将来似た方向を目指している先輩や、価値観・考え方の合う先輩からの意見を参考にし、結果として、東大病院、国立国際医療センター、聖路加国際病院を訪問しました。
- Q 見学や試験の様子、また研修先選択の決め手はいかがでしたか?
- 東大病院は4月の説明会、国立国際医療センターは小児科の1日見学、聖路加国際病院は1週間の実習にそれぞれ参加しました。
東大病院の筆記試験は、3本の英語論文をそれぞれ1時間で要約するものでした。どの論文もとても1時間で要約しきれる分量ではないのですが、出題者側の意図としては、すべての問題にそれぞれの時間内で60%までの答えが出せるかどうかを見ていると聞きました。つまり、実際の現場では誰か1人の患者さんには100%の医療を行なえても、誰か1人には50%だった、とかではダメで、どのような場面でも医師として求められる仕事の最低6割を必ず果たすことが、一つの基準として設けられているのだと思われます。面接は学生1名対面接官2名の形式で、医者を志望する理由やその病院を選んだ理由、医師としての自分の将来像など、一般的な質問を受けましたが、自分らしく2年間を過ごすため、あまり取り繕って相手に合わせるのではなく、正直に思うまま話すようにしました。
国際医療センターの面接は、こちらは20くらいある診療科各科の先生を5分くらいずつで一回りし、その後、院長や副院長等の先生方との5対5の集団面接となります。
聖路加国際病院は1週間の実習参加が受験の条件になりますが、実習時は自分で近くに宿泊先を見つけて通います。試験当日は学生1名対先生10名という形式で面接がありました。
私の場合は、病院訪問時の「ここで働きたい」と感じた印象が、研修先選択の一番の決め手でした。
後期研修先選びについて
- Q 後期研修先はどうされるご予定ですか?またその理由は?
- 今のところ、後期研修も聖路加での研修を希望しています。残ろうと思った理由は、居心地が良く働いていて楽しいですし、ここの先生方からもっと学びたいことが多いからです。医学知識はもちろん、患者さんやその家族への接し方を、さらに医師としてどうあるべきかという姿勢を学ぶ点で、非常によい環境だと思っています。たとえば容態が急変したときや告知をするとき、患者さんや家族の方とどう接するのか。先生方それぞれが異なる価値観や芯となる考え方を持っていらっしゃいます。尊敬している先生方の動きの中にそれらを垣間見られることは、貴重なことだと思っています。
その他

- Q これまでの初期研修で特に思い出深いことはありますか?
- どの患者さんとも思い出はありますが、特に印象深いのは亡くなっていった患者さんのことですね。担当する患者さんの死期が近づくと、必然的に一緒に過ごす時間も長くなります。その中で、患者さんやご家族との心理的距離が急に縮まる瞬間があります。そういった経験のできる仕事は、他には少ないのではないでしょうか。日々の業務では治療や医学的な知識の確認に興味が傾きがちですが、患者さんの最期の瞬間に踏み込む体験は、人を苦しみから解放することに自らの時間を費やす、医者としての初心を思い出させてくれました。残された時間をどのような時間にしてあげられるのかを考えることも、医者の大切な仕事の一つだと思います。また、百聞は一見にしかずと言うように、教科書を読んでいるだけではなかなか定着しない知識なども、実際に患者さんを受け持っていく中で自然に色々なことが身についていくと感じることがあります。一人患者さんを受け持つたびに、医師として成長の機会だと思っています。
- Q 後期研修修了後については、どうお考えですか?
- 最終的には昔からの夢である国際保健の道に進もうと思っています。日本で臨床経験を積んだ後には、実際に途上国での医療活動や国際機関で働くことができればと思っています。
後輩の皆さんへのメッセージ
- 医者を目指している、または医者として成長していく中で、迷うことは多いと思いますが、皆、最後は自分の心で選択をするのではないでしょうか。いくら頭で考えてみても、結局は自分が好きなことなのか、やりたいことなのか、という気持ちで動くと思います。興味があれば飛び込んでみればいいのではないでしょうか。好きなことをし続けていれば見えてくるものがあると思います。聖路加で出会った尊敬する先輩が教えてくれた、Apple社のSteven Jobsの言葉を、読んでくださっている方にも贈りたいと思います。
“自分が本当に心の底から満足を得たいなら進む道はただ一つ、自分が素晴しいと信じる仕事をやる、それしかない。そして素晴らしい仕事をしたいと思うなら進むべき道はただ一つ、好きなことを仕事にすることなんですね。まだ見つかってないなら探し続ければいい。落ち着いてしまっちゃ駄目です。心の問題と一緒でそういうのは見つかるとすぐピンとくるものだし、素晴らしい恋愛と同じで年を重ねるごとにどんどんどんどん良くなっていく。だから探し続けること。落ち着いてしまってはいけない。”
次回の「Runners~研修の現場から」もお楽しみに。


