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去る11月21日(土)に第9回SPAM(Advanced SPAM)を開催いたしましたのでご報告させていただきます。
SPAMとは、研修医が自信を持ってERでの初期対応に臨めるよう、群星沖縄・浦添総合病院で開催されている救急初療標準化コースのことで、統一された方法を用いて救急患者の初期評価、それに引き続く疾患鑑別、治療などを行っていく道筋を学ぶ実践的な講習会です。

今回で第9回目となるSPAMは、前回のものをよりスケールアップさせた"Advanced SPAM"として開催され、群星関連病院からのみでなく、県外からの参加者も交えてより一層賑やかな雰囲気の中で行われました。
前回のA(気道)、B(呼吸)、C(循環)、D(意識障害)の異常へのアプローチから趣向を変え、「頭痛」「めまい」「腹痛」「胸痛」といった症候別のアプローチを行う方法を簡単な講義と実践的なシミュレーション形式で学びました。最後にはグループ一丸となって取り組むメガ・コードも用意し、難しいシナリオにみんなで挑んだ参加者たちの顔には、疲労の中にも充実感に溢れた笑顔が見られ、運営したスタッフとしてもとても頼もしく、本当に楽しいコースとなりました。
浦添総合病院ではこれからも、先輩方から引き継いできたこのSPAMの伝統を全国の後輩たちに広げていけるよう、研修医一同励んでいきます。
第9回SPAM実行委員会
浦添総合病院初期研修医 5期生 & 6期生一同
初当直の日のことを今でもよく覚えています。ドラマ「ER」のような華々しくてかっこいい世界に憧れ、勢い勇んで迎えた初当直の夜。理想と現実のあまりの違いに愕然とし、そして何より自分のあまりの力のなさに呆然とした夜でした。それは今でもあまり変わってはいないのかもしれないけど、でも幾分かは成長した自分を振り返るに、僕や周囲の研修医たちの成長に大きな影響を与えたのが、当院で行われている救急初療標準化コース、その名も「SPAM」です。
これから3回にわたり、われわれ浦添総合病院の研修医たちが取り組んでいる「SPAM」について、ご紹介させていただきます。みなさんにこの活動に興味をもっていただき、一緒に楽しく救急を勉強できる仲間ができればと思っています。
研修医にとっての登竜門、当直。次々に運ばれてくる救急患者さんに対していかに冷静に対応するか、どうやって素早く的確なアセスメントをし、適切な治療を行うか、医者としての度量が一番試される現場ではないでしょうか。初めてそこに足を踏み入れる新米ドクターにとっては、先が見えない真っ暗な恐怖の世界にも見えます。そんな中、ERで自信を持って初期対応に臨めるようにと、浦添総合病院で開催されているのが救急初療標準化コース、通称「SPAM」です。
SPAMとは"Standard of Primary Assessment in Muribushi"の略で、研修医を対象として、統一された方法を用いて救急患者の初期評価、それに引き続く疾患鑑別、治療などを行っていく上での、いわば「お作法」を学ぶ実践的な講習会です。SPAMのコンセプトは、「研修医が一人で救急患者を出迎えてから、いかに患者さんの生命を守り抜いて上級医に引き継ぐか」です。そのため、重症患者に対して誰が対応しても同じように的確な対応がとれるよう、簡潔化されたマニュアルやアルゴリズムに沿って対応していくだけで、様々な場面を想定した救急疾患に系統立ったアプローチができるように設計されています。
生まれも育ちも浦添総合病院、歴代の研修医たちの手作りコースです。コース自体も年を重ねるごとに進化を遂げており、今年は今までのSPAMコースからバージョンアップした「Advanced SPAM」を開催するに至りました。

Aブース講義風景
みなさんの中にも、ACLSやJATECなどの講習会を受講された方がいらっしゃると思いますが、SPAMもそれと同様、簡単な講義と実践的なシミュレーションを交えた形式で行われます。
SPAMはPrimary SurveyとSecondary Surveyという二本柱から成り立ち、初療においてそれぞれ違った意味合いを持っています。
Primary Surveyは「救急救命目的評価」と位置づけられており、患者さんに接触して一番最初に行う評価で、「危険な第一印象(=First Impression)」と「危険なバイタルサイン」から患者さんに起こっている異常を素早く察知し、その異常がABCDのどこにあり、どう対処すればいいかを判断する初療の肝の部分です。このとき、患者さんの異常を確実に拾い上げることができるよう、SPAMではFirst Impressionをとるためのお決まりのポーズ、その名も「SPAMのポーズ」があります。

SPAMのポーズ
この姿勢たった一つで即座にABCDの異常を評価することができる最強のポーズとして、コース中は何度もこのポーズをとることを徹底させています。実際に、浦添総合病院の研修医が救急患者を出迎えるときは、みんな自然とこのポーズをとっている姿を目にすることができます。First Impressionで異常があれば、それを周りに大きな声で宣言し、周囲に適切な指示をします。ここにも合言葉があって、「誰か~!! IV、O2、モニター!!」と叫ぶようになっています。これは、初療に不可欠なライン確保と酸素投与、バイタルチェックの指示、そして研修医にとって何よりも大切な応援要請のための決まり文句です。そしてそれに引き続くSecondary Surveyへと進みます。
Secondary Surveyは「診断・治療目的評価」と位置付けられ、Primary Surveyで察知した異常、もしくは患者さんの主訴に対してのアプローチ方法を学びます。従来のSPAMは、患者さんの生命を脅かす異常に対して気道・呼吸・循環・意識という解剖学的なアプローチ(ABCDアプローチ)が主体でしたが、今年はそれに加え、従来のコースをより進化させた「Advanced SPAM」として、頭痛や腹痛、胸痛といった症候別アプローチのコースを新たに立ち上げて好評を得ました。

メガ・コード風景
コース当日は、まず全体でPrimary Surveyの概要を学び、それに引き続いて少人数グループに分かれて解剖学的アプローチ(ABCDアプローチ)もしくは症候別アプローチの各ブースを回るスタイルをとります。各ブースでは、生命を脅かす危険の高いものや、ERで実際に遭遇する頻度の高い疾患を効果的に学べるようなシナリオが用意されており、簡単な講義の後でシナリオを用いた実践的シミュレーションを行い、頭と体の両方を動かしながら救急初期対応を学んでいきます。 各ブースでできるだけ本物のERに近い環境を作り、そこに上級医からなるインストラクターによる名演技が加わってさらに場を盛り上げます。患者、看護師役の演技がリアル過ぎて、中にはパニックに陥ってしまう受講者もいるほどです。中には急変シナリオも用意されており、受講生はひと時も気を緩めることができません。
こんな講習会を繰り返しながら、私たちは実際の救命センターで本物の患者さんを相手に救急初療にあたっています。このSPAMが実践にどれだけ役に立つのか、疑わしく思っている方もいるかもしれませんね。

Mブース風景
あ、そうこう言っているうちにホットラインが鳴りましたよ!!
救急隊:「浦添救急隊からです。69歳男性。突然の呼吸困難感を訴えて救急要請。現在、橈骨動脈触知困難です!!受け入れお願いします!!」
さあ、あなたならどう対応する!?
次回、SPAM的アプローチの実際へ進む。
文責:第9回SPAM(Advanced SPAM)実行委員会代表 山内素直
