今回は、実際のインターンの日常を紹介したいと思います。
インターン仲間とプログラムディレクター夫妻と。ホームパーティーでの一コマ。
在沖海軍病院では毎年6名の日本人インターンが採用されます。 それぞれのバックグランドは様々で、医学部新卒者からすでに日本で専門医資格を取得している者までいます。
私は初期研修修了後、一年間の後期研修(救急・麻酔)を経験して今年でまだ医師4年目ですが、今年の6名の中では二番目に年長です。また、私は外傷やCPAなど派手な救急が大好きな人間ですが、他のインターンは内科や家庭医療、外科などそれぞれの興味のある分野はバラバラです。しかし、米国の医療に興味があり、将来的には米国への臨床留学を目標としている心強い仲間であることには変わりありません。
在沖海軍病院でのローテーションは、基本的には日本の初期研修でのスーパーローテーションと同じです。
4月に行われるオリエンテーションのあと、4週毎の各科のローテーションが始まります。
必修科としては 救急、家庭医療、外科、内科、産婦人科、小児科そして神経内科・精神科 があり、その他は院内の希望する科(整形外科、放射線科、皮膚科、眼科、泌尿器科など)や海外での病院での実習が可能です。
内容としては、科によって多少異なりますが、病棟患者さんがいれば朝のプレラウンドから始まり、指導医との病棟回診や外来見学などを行います。指導医の許可、監督があれば基本的にはどのようなことでもさせてもらえるので、外科であれば手術に入ったり、産科では帝王切開や実際に分娩で赤ちゃんを取り上げたりすることもできます。どの科の先生もとてもフレンドリーで優しく、さらに教育熱心なので、わきあいあいとした雰囲気の中で楽しく色々な経験ができます。私が今までで印象に残っていることと言えば、小児科のローテーションで割礼をさせてもらったことでしょうか(自分にではありません。…念のため)。
日本ではみたこともなかった手技なので最初は汗だくでしたが、何件かやってついには「割礼マスター」の称号をいただきました(笑)在沖海軍病院でのインターンシップの特徴として、毎朝7:00からのモーニングレポートがあります。
これは、インターンが日替わりで内科、外科、産婦人科、家庭医療、救急、小児科の症例プレゼンテーションを行うもので、プレゼンテーションスキルやディスカッションの練習をする絶好の場になっています。
また、指導医とのディスカッションを通して、疾患の捉え方や治療方法など、日米の医療の違いを感じることができる場でもあります。
- 5:00 ~ 7:00
- 起床。
内科、外科、小児科などで病棟患者を診ているときはプレラウンド。 - 7:00
- モーニングレポート
- 8:00 ~
- 各自のローテーションへ。 外来見学、手術室、分娩室、ERなど。
- 12:00 ~ 13:00
- ランチタイム。 ギャリーと呼ばれる病院食堂やSUBWAYなどで。
- 13:00 ~
- 午後のローテーション。
- 16:00 ~ 17:00
- 外来、病棟が一段落すれば一日は終わり。
- 17:00 ~
- 帰宅。
モーニングレポートの準備、各自の勉強など。
オンコールの夜。ERで。
通常のローテーションは上のような感じですが、オンコールに当たっている場合の勤務時間は当日の7:00から翌朝7:00(24時間)となり、この間の通訳や搬送業務、各種問い合わせに対する対応を一手に引き受けることになります。
各科のローテーション中でも、ポケベルが鳴ればひとまずこちらの対応を優先させます。
基本的には通訳は小児科や産婦人科からの依頼が多いですが、他にも書類の翻訳や、出生届や死亡診断書への署名なども行います。また、ERから日本の病院への患者さんの搬送(AMIや集中治療を必要とする重症患者のことが多い)をお願いされたり、逆に日本の救急隊などから軍関係の患者の受け入れ依頼がきたりすることもあり、それぞれに応じた調整を行います。
また、ローテーションしている科に関わらずオンコールのインターンは18:00~22:00までの間はERで勤務することになっており、この間は自分で患者さんの問診、診察を行ってから指導医にプレゼンし、治療方針についてディスカッションを行います。
当院のERの患者層としては小児、妊婦さんの割合が高く、高齢者はほとんど診ることがないのが特徴です。私はここでの研修を始めるまで、日本のERで小児や妊婦さんを診察することがほとんどなかったので、自分で婦人科の内診や経膣エコーまでやることに最初は戸惑っていましたが、米国のERでは救急医に求められる当然の診察技術であり、将来は救急希望の自分にとってはとてもいいトレーニングの場になっています。
もちろんここも、英語での診察やプレゼンテーション能力のブラッシュアップを図る最高の機会です。
ゆんたく倶楽部 (在沖海軍病院と沖縄県内の研修医、医学生との勉強会)
ERで。(左端が筆者)
前回の記事でも言及しましたが、残念ながら在沖海軍病院には施設やマンパワーの面で、自施設だけでは対応できない疾患も多く存在します。そのため、基地外にある日本の病院との連携が必要不可欠です。
そのため、普段から地域の協力病院と結びつきを密なものにしておくためにも、県立中部病院や県立南部医療センター・こどもセンターと定期的な症例検討会を行ったり、「ゆんたく倶楽部」と呼ばれる沖縄県内の研修医や医学生とのカジュアルな勉強会を浦添総合病院で開いたりしています。
在沖海軍病院でのインターンシップは、日本の病院での研修に比べると随分と楽で、のんびりとしています。
ですが、日本の病院では経験できないユニークな内容のプログラムであり、この恵まれた環境を存分に使って米国留学のための準備をしたり、これまでみることができなかった米国の医療の一端を垣間見たり、色々な職種、人種、バックグラウンドの人との交流関係を築いたりと、楽しいインターン生活を送れることは間違いありません。





